世界一のアイスクリーム Bacio di Latte

ここ、ブラジルにきて一番の収穫は何か?、と聞かれたら即座にこう答えるだろう、 「Bacio di Latteの発見」だと。読み方は「 ばちょ・ぢ・らって」だ。

これまで、これまで30ヶ国以上を巡り、その土地々でいろんなアイスクリームやジェラートを食べてきた経験がある。しかし、これほどまでにピュアな味と幸福感をもたらしてくれたアイスに出会ったことはなかった。Bacioのアイスを食べた後には、他のアイスクリームを「アイスクリーム類」といった同じカテゴリーとしては見ることができないのだ。

Bacioのアイスは決して私たちを裏切らない。どのアイスも高品質な素材(チョコレートはベルギーからの直輸入、ピスタチオはイタリア産のものを使用するなど)から作られ、且つ、アイスの味を作り出す以外のものは全く入れられていない。それゆえに「本物」といえ、どのテイストも(たとえ、自分が苦手だと思う味でさえも)口に入った瞬間一気に頭の中を解放してくれるような、目を覚ますような、でも決して刺激的なものではなくて優しくそれをもたらしてくれ、まろやかな優しい気持ちにしてくれるような、言葉では表現できない気持ちにさせてくれる。

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私はBacioのアイスを食べるまで、個人的にはピスタチ味のアイスというのが今ひとつ苦手であった。ピスタチオ、それ自体は以前から好きであったし、アイスにしても別段嫌いというほどではなかったが、好きでもなかった。しかし、ここBacioのアイスを食べると僕のそれまでのピスタチオアイスの記憶を消してしまった。ピスタチオをアイスにすることを思いついた先人に心から感謝し、それまでのピスタチオアイスへの態度への非礼を詫びた。そして、微妙なピスタチオ味のアイスを作っていた他アイスクリーム店への怒りが一瞬湧いたが、Bacioのアイスがその感情さえもマリアのごとき慈悲を持って包み込んでくれたのですぐに許した。

「で、何が一番美味しいんだ?おすすめの味はあるのか?」ここまでよんだ方にはこう思うひとがいるのではないだろうか。僕も大抵こういうことは思う。むしろ、アイスの関係で店の紹介をしている人の話を聞くと真っ先にこういうことを思うような人間だ。だがこの答えは、とても難しい。Bacio di Latteには店ごとにも置いてある種類は数多くあり、さらにどのアイスも大変美味しいために実に選び難い。

・・・・と、言いたいところだが、実ははっきりしている。Bacio di Latteの店に限らず、ブラジルのアイスクリーム店であれば大抵置いてあり、さらには日本ではなかなか目にかかることのない味であるためほとんどの方におすすめできる、というかぜひ全員食べて欲しい。しかし、このように書くとじゃあその味だけが飛び抜けて美味しくて、他は置いといてとりあえずその味だけ食べればいいか。と思ってしまわれる方もいるかもしれないので、先に言わせて欲しい。それは誤解だと。確かに、優先して食べて欲しいのはこの後に紹介する味ではあるのだが、決して他の味は食べなくていいというのではない。どの味も他のアイスクリーム店の味とは一線どころか2線、3線も超えた美味しさであるのでぜひ全ての味を味わって欲しいし、少なくとも自分の好きな味は食べてもらいたい。

さて、話が少しそれたが、一番私がおすすめするのは「マラクジャ味」である。このマラクジャというのは日本では「パッションフルーツ」で馴染まれて・・・はいないが、呼ばれている。(沖縄や九州地方の人には馴染みがあるだろう。)

パッションフルーツ

沖縄などで見かけるパッションフルーツは赤いものが多く、片手に収まるような小ぶりのものが多いが、ブラジルのマラクジャは黄色く、日本のものに比べてふたまわり程大きい。

マラクジャ(ブラジルのパッションフルーツ)

また、日本のものは甘く、スプーンですくってそのまま食べることが多いが、ブラジルではそのままでは食べるには少し酸っぱく、砂糖と水とでジュースにして飲まれることが多い。(余談だが、私はブラジルのものを食べるときはそのまま砂糖をかけてスプーンで食べるのが好きだ)。

このマラクジャ、正直僕が好きなフルーツランキングTOP3のうちの一つではあるが、決してそれだけで勧めている訳ではない。甘さの中に柑橘類とは違った爽やかさと甘酸っぱさがあり、食べると心地よい安心感をもたらしてくれる。そしてBacioのアイスになることでそれがさらに顕著に感じられるのだ。その味はあなたをリラックスさせ、それまで抱えていたストレスから解き放ってくれる。僕がBacioのアイスを食べたのは、実は恥ずかしいことに彼女と喧嘩していた時であった。日本での仕事をやめてやってきた中で、キャリアを途絶えてしまったことによる将来への不安や、不自由な生活、慣れない家事・自分の現状への不満などから彼女にあたってしまっていた。しかし、勧められたここでのマラクジャのアイスを食べたときにそうしたストレスなどが一気に浄化された。本当に、文字通り浄化されたような心の安らぎを得たのだ。僕はいつの間にか涙を流していた。

さて、この、 “Bacio di Latte” 日本語に直訳すると「牛乳の接吻」、もう少し上手く訳しても「ミルクからのキス」と言うことになる。日本語で考えるとちょっとなんか臭そう微妙に思うかもしれないが、概念的に言いたいことを考えればおしゃれ感?は理解できるだろう。そしてブラジルにあるからブラジル語ポルトガル語かと思いきやまさかのイタリア語である。オーナーはもともとイタリアからこっちにやってきて店を出したようだ。「じゃあイタリアのジェラートがやっぱ元祖だから一番か」、とか思うひとがいるかもしれないが、私の経験上こっちのが美味しい

そして、その名前の通りミルクが使われたアイスが多いが、それだけ食べるよリは私が薦めるマラクジャのアイスと一緒に頼むことで濃厚なミルクと爽やかなマラクジャの味とを交互に味わえる。店にはアイスカップの大きさによって頼める味の種類が変わる。最初のおすすめは三種類の味を楽しめるGサイズのものであり、その中にピスタチオ(ミルクが使われている)、マラクジャ、そして濃厚なチョコ系もしくはミルクベースのベリーがいいだろう。本物のピスタチオアイスとBacioの誇る優しいミルクが使われたアイス、そしてマラクジャとが相互にお互いの良さを高めあわせる。

ここまで、長く語ってきたが、このアイスを食べるだけでもいいから一度ブラジルまで来いと言うことだ。そしてサイトの目的と前後してしまうが、ついでにグラフィティも見てくれれば私は十分に嬉しい。